イチロヲ

徳川女系図のイチロヲのレビュー・感想・評価

徳川女系図(1968年製作の映画)
4.0
大奥の泥沼状態を目の当たりにした将軍綱吉(吉田輝雄)が、深い女性不信に蝕まれながら、性愛の在り方を模索していく。東映異常性愛路線の第1弾。「大奥もの」の礎を築いた作品。

大奥内部では、江戸派(三原葉子)と京都派(国景子)が勢力争いを展開。人間的情緒を得られずにいる将軍が、大奥という特殊極まりないシステムに猜疑心を募らせると同時に、猟奇性愛のパッションを滾らせていく。

出演する女優陣は、内田高子を筆頭としたピンク女優とストリッパーによって編成。ハダカ相撲の場面では、次世代スター・賀川雪絵と、ピンク界の旗手である谷ナオミ(日活ロマンポルノ以前)が、直接対決を繰り広げる。

トランス状態に陥っていく将軍のアンビバレントな感情表現が素晴らしく、側用人(小池朝雄)の活躍ぶりにも意外性がある。東映の重厚な時代劇セットの中でエロが展開されるところが、もはや怪異現象ともいえるレベル。
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