幕のリア

徳川女系図の幕のリアのレビュー・感想・評価

徳川女系図(1968年製作の映画)
2.6
江戸派と京都派に別れた大奥。

裸踊りに裸相撲などアトラクションメインの作品ではなく、後々の様々な作品に影響を与えたであろう愛憎渦巻く江戸城内を描く。

生類憐みの令。
水戸光圀と同時代の人物ということからの対比としての穿った人物像。
身長124センチほどだったという説。
第5代将軍徳川綱吉のパブリックイメージはやや貶められた傾向にあった。

吉田輝雄演ずる綱吉は、今となってはなんの面白みもないちょいエロ社長。
知らぬ名を寝言でつぶやく女に対する猜疑心が、女だけではなく周りの全ての他者に向けられていく。

側用人、柳沢吉保の登場で歴史好きとしては期待が高まったが、活かしきれず。
新井白石は次の代だが、荻生徂徠などの儒者との絡み、赤穂事件のエピソードなどの彩りも欲しかった。
どうにも焦点が定まらない展開で、部分的にしか愛でることが出来ない作品。

大奥エキストラの顔面偏差値の低さと気の抜けた表情が味わい深い。
幕のリア

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