漆原

荒野の千鳥足の漆原のレビュー・感想・評価

荒野の千鳥足(1971年製作の映画)
3.7
めちゃくちゃ面白い映画を見つけてしまった。
荒野にポツンと立つ小学校で教師をしている極普通の青年が、旅の途中で立ち寄った町で酒とタバコと博打と静かな狂気に溺れていく。

田舎ホラーのように、出会う田舎の男達にとんでもない悪者がいる訳ではない。ただ、なぜか町のみんなからビールを飲まされる。
保安官も金持ちも労働者もみんな、彼に矢継ぎ早にビールを勧める。見ていて気持ち悪くなる位に終始ビール漬け。浴びるほど、というか、実際にビールを浴びる始末。

終いには町の男達と一緒に、食用ではなく娯楽の為にカンガルーを殺していく。撃たれるカンガルーの本物の映像が長々と続く。
このシーンでのカンガルーとのタイマンは見もの。羽交い締めにして喉元を掻っ切る。

青年が自堕落に堕ちるだけなのに全く先の展開が読めず、画面に釘付けになった。
常に半裸のアル中町医者を演じるドナルド・プレザンスの器用さも良い。なんでもやる&出来る名優っぷり。タンクトップが伸び伸びになって生脚キャミワンピ状態のプレザンスにトドメを刺された。

むさ苦しい男大勢と埃と汗と体臭にまみれた隠れた良作。
漆原

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