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パロアルト・ストーリーのGreenTのレビュー・感想・評価

パロアルト・ストーリー(2013年製作の映画)
2.5
ジェームス・フランコが、女子高生に手を付ける女子サッカー部コーチを演じています。

手を付けられる女子高生を演じるのは、ジュリア・ロバーツのお兄さん、エリック・ロバーツの娘、エマ・ロバーツ。この女子高生にほのかな恋心を抱く同級生が、ヴァル・キルマーの息子、ジャック・キルマー。監督・脚色は、フランシス・フォード・コッポラの孫で、ソフィア・コッポラの姪ジア・コッポラ、とハリウッドの二世、三世が作った映画です。

なんでジェームス・フランコはロリコンの役なんか演じてるんだ?って思ったら、原作はジェームス・フランコが書いた短編集『パロ・アルト』なんだそうで。パロ・アルトは、ジェームス・フランコが育ったカリフォルニアの街の名前で、原作の短編集は、ジェームス・フランコの高校時代のエピソードの寄せ集めなんだそうです。

なので、ロリコンの先生に処女を捧げた同級生がホントにいたのかもしれませんが、この役で映画にも出演したのは「若い女優とベッドシーン演りたかっただけなんじゃないの?!」などと勘ぐっていたら、この映画が出た後、Me, too ムーブメントでジェームス・フランコが設立した演劇学校の女生徒にベッドシーンを強制しただかなんかで糾弾されて「やっぱり!」なんて思っちゃった(笑)。

あ、そうそう、この先生は、別の女子サッカー部員にも手を付けていて、それを演じるのがマーガレット・クアリー、アンディ・マクダウェルの娘と、こちらも二世なんですよね。

お話はカリフォルニアの高校生のケアフリーで自己破壊的な日常を切り取った感じで、特にストーリーはありません。エマ・ロバーツ演じるエイプリルとサッカーコーチの恋愛の話と、ジャック・キルマー演じるテディが飲酒運転で捕まって、少年院送りを免れるために社会奉仕で養老院で働いたりなどの話が核になるんだけど、あとはヤリマンの女の子とか、クレイジーな男の子とか、パーティでの自暴自棄なティーンエージャーたちの描写とか、ありがちな高校生描写ばっかり。

個人的には「コイツら、良くタバコ吸うな〜」ってそればっか考えてました。

ジア・コッポラは写真をやってたらしいので、まあ、写真の寄せ集めみたいな、いわゆる「アートフィルム」?「高校生の生活をただ描くだけで、起承転結も洞察力もなくてつまらない」という意見がiMDbでは多かったですが、まあ、思春期の話をあまり作り過ぎると嘘くさいから、これはこれで「等身大のリアルな高校生」ってイメージはあると思いました。

こういうのは自分の青春時代と重ね合わせて「分かる!」って思えればいい映画だし、「俺の/私の青春時代はこんなんじゃなかった!」って思えば「つまらない!」になるんだと思います。iMDbでも「俺は今高校生だが、こんな生活はしていない!イマドキの高校生はこんな感じだって思われても困る!星一個!」みたいな意見もありました。

年齢高いと「俺もアホな高校生だったが、少なくとも80年代の子供は大人になりたいと思っていた。この子たちは、全く成長する気がないように見える」って言っている人もいました。

余談だけど、テディは飲酒で当て逃げしてパトカーに追われ、警官に「ファックユー」と言ったり「ピッグ」と呼んで逮捕されるんだけど、現在のBLMのご時世で観ると「ああ〜、黒人の高校生だったら射殺されているんだろうなあ」と思ってしまう。

しかも少年院行きを免除される代わりに社会奉仕をするんだけど、図書館でボランティアをしている時に親友のフランクが来て、幼児向けの本にチ◯ポの絵を落書きして問題になったり、全く反省している様子もないし、ただ少年院に行きたくないからイヤイヤやっている。しかも、図書館では子供の本と出逢って「この仕事キライじゃない」とか思ったり、養老院ではおばあさんの絵を描いてあげると「あなたは才能がある」なんて褒められる。

やっぱこれは人種格差激しいよね〜と思わざるを得ないし、カリフォルニアの裕福な白人のガキ!ってちょっと嫌悪感すら感じる。

でも自分も高校生のときは、悪いことしてもすぐ忘れちゃってたかもな。逆に「これからはマジメに生きなきゃ!」って心を入れ替える子供の方が気持ち悪いかも。

ちなみに撮影はヴァル・キルマーの家とジア・コッポラのお母さんの家で行われ、ヴァル・キルマーもジア・コッポラのお母さんも出演しているし、フランシス・フォード・コッポラも声の出演をしているという、ほとんどファミリー・ビデオみたいな映画です。
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