ずどこんちょ

きみはいい子のずどこんちょのレビュー・感想・評価

きみはいい子(2014年製作の映画)
4.2
素晴らしい…。素晴らしい映画でした。
子供を育てることに悩む2人の大人が主人公です。

小学校の若い先生は児童をコントロールできず、学級崩壊に悩まされていました。
小学校が30人のクラスであれば、30人分の問題がある。学校の先生は30個の問題を一つ一つ解決していく時間も余裕もありません。それでも子供だけでなく、保護者や大人までも問題を重ねていく。虐待があっても、必要以上に家庭問題に首を突っ込めない。突っ込みたくても、突っ込むことを許されない。目の前でその子が苦しんでいるのに。
若い先生は悩みます。教育って、何だろう…?

ある母親は子育てに疲弊していました。
子供の仕事の一つは、親に迷惑をかけることです。何をやってもドジを踏むし、壊すし、ひっくり返す。いつしか母親の子育ては、娘を殴り怒鳴りつける形に変わっていました。ひとしきり殴り終わった後で襲ってくる後悔と悔しさ。特にその母には過去の事情があったから…。
母親は悩みます。子育てって、何だろう…?

子供はいつ大人になるのでしょう。
小さな体で家族や先生たちから守られていた子供は、いつしか大人になって、気付いた時には親になっている。でも、親になるのは初めてだからどうしていいか分からないし、誰も教えてくれない。そうして母親や先生のように悩み、疲れ切って、追い詰められていくのです。
誰より苦しんでいるのは大人なのかもしれない。
そんな中、核心をつく台詞が胸に響きます。
「子供に優しくすると、その子が他人に優しくする。子供に優しくすれば、世界が平和になる」
疲弊した若い先生は、親戚の子供に抱きしめられながら「頑張って頑張って」と小さな声で励まされます。
大人が子供に優しくすれば、大人はその子に救われる日が必ず来るのです。必ず。