ジャージャー

きみはいい子のジャージャーのレビュー・感想・評価

きみはいい子(2014年製作の映画)
4.7
25本目

虐待、孤独老人、学級崩壊、いじめ、貧困、障害、クレーム、認知症などありとあらゆる社会問題を序盤から無駄なく巧みに提示し、ラストにそれらを優しくまとめ上げる作りに感動。でも敢えてファンタジックな仕上がりにしているラストには映画の世界だからこそ一応のハッピーエンド(解決して無い問題もあるけど)に成り得たというある種の残酷さも感じられた。

ラスト以外は全て当たり前のように起きている現実。それを少しでも解消していくためにはラストのように家族や年齢関係なく他人だとしても一人の人間として尊重して接していくことが大切だと感じた。

役者の演技も一流。それも監督の演出力があってこそだと思う。是枝監督の様に子供の使い方が凄く上手い。高良健吾演じる教師が終盤に出したある宿題を確認する場面ではまるでドキュメンタリー映像を観てるかのような感覚になるくらい自然体だった。他にも虐待を受ける子供、障害を患った子供、貧困に苦しむ子供などとても難しい役だが説得力のある演技をしていた。

只でさえ子供の演出は難しいのに小学校1クラスを違和感なく描写できる呉美保監督は只者じゃないと思う。言うことを聞かない男の子、クラスを仕切る真面目な女の子、他の子をいじめる女の子、毎日同じお下がりを着てくる男の子、障害を患い感情が爆発してしまう男の子。これを観て自分の小学校時代が次々に思い出された。

尾野真千子恐るべし。天真爛漫なイメージとはかけ離れた子供を虐待する母親。彼女が虐待をするシーンを本当に直視できなかった。このシーンなどで効果的に使われる長回しや、いたたまれない気持ちになるような構図などこの映画の様々な手法がことごとく効果的に働いてた。

今の日本を正面から高い技術で描いた力作。自分の中で大切な一本になった。