LalaーMukuーMerry

きみはいい子のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

きみはいい子(2014年製作の映画)
4.6
幼稚園に上がる前の女の子が母親に虐待されるシーンは見てられなかった。これは児童虐待の実態を知らしめる問題提起の作品か!と、ちょっと覚悟して見進めたが中盤からかすかに希望の光を見せてくれて、ホッとすると同時に考えさせられる作品でした。
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「わたしがあの子を可愛がれば、あの子も他の人を可愛がってくれるようになる。母親の仕事はとても大切なんだよ」とお姉さんがおどけて言うシーンがありましたが、ホントにその通り!  
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この年になると、可愛がって育ててくれた私の親には感謝しかない。うちの子が孫を作ってくれたら、お爺ちゃんはめっちゃ可愛がるよ!(その前によい相手をみつけてくれ)
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この前に見た「はだかっ子」の時代(1961)から50年ちょっと。その間に日本の子供たちは(親や学校の先生も含め)こんなにも変わってしまったのかと思ってしまう。もちろんどこを切り取るかによるから、昔だって子どもの虐待はあったとは思うけど、こんなに社会問題化している現状をみれば昔よりずっと数は増えているに違いない。なんでかな? 理由はとても複雑で、いろいろな問題が絡まりあって、そのしわ寄せが罪のない子どもたちにきているようにみえる。どこから手を付けたらいいのか私にはよくわからない。とりとめないですが思いつくまま・・・
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・幼い頃可愛がられた記憶がなく、虐待された経験がある母親が増えた。
・それはたぶん核家族化が進んだから
 母親は子育ての悩みを相談できる人(親)が身近にいなくなった。
 子どもに逃げ場がなくなった。
・共働きが当たり前になったから
・それなのに保育所が足りない
 母親は子育てと仕事に追われ、時間も心もゆとりがなくなった
 父親も仕事に追われ残業が当たり前、子供へのケアが不十分になった
 いじめにあった子の異変に親が気づけなくなった
・過大なノルマと効率が最優先の競争社会が激化した⇒大人はみんな疲労困ぱい
・それなのに、いくら働いても収入は増えない(賃金は上がらない)
 それは、正規が減り非正規の数が増え続けたから(そっちの方が雇用者側には有利)
 人手不足が続いているのに、なぜか賃金は一向に上がらない。
 それは、もっと安い労働力を求めて外国人労働者をどんどん増やそうとしているから。
・格差が大きくなって貧困家庭が増えた。子どもの貧困はかつてなく高まった。
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・昔は、おじいちゃんおばあちゃんと一緒に暮らすのが当たり前だった。これは人類の長い歴史のなかでも、どこの国のどの民族でも、ず~っとそうだった。
・親や爺ちゃん婆ちゃんだけでなく、ご近所の大人たちも子どもの成長を見守っていたから、どの子にも自分を可愛がってくれる親や大人たちが周りに普通にいた。根拠のない自身や自己肯定感はこういう環境で育つのです。
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昔に戻れとは言いませんが、何か根本的な見直しが迫られているのでしょう。(そんな社会変革は待ってられないから)まずは子どもをハグしてあげることから始めようというメッセージには共感を覚えました。
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●先生の定員割れ問題(最近知ってとても驚いたこと。ちょっと関係ありそうなので記しておきます)
・家庭ですべきしつけができなくなって、その役割が学校に求められるようになってきた。
・先生は、すべき仕事がものすごく増え、今では医者とならんでブラック職場の代表格
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2001年 非正規の先生を地方自治体の裁量で雇用できるように法改正がなされた(非正規の先生は給料も安く、基本的に1年契約だから昇給もなく、身分が不安定。雇う側の自治体には好都合)
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2000年代半ば
・団塊の世代の先生が大量に定年退職するようになり、その空きを埋めるように非正規の先生の需要が高まった。
・この頃、「教育再生」と称して教員採用試験を難しくする改革がなされたので(熱意ある人だけが合格できる狭き門になって)
・先生の数不足が学校で目立ち始めた。教員採用試験に落ちても非正規の身分に甘んじて現場で頑張る先生が増えた。が、定員不足のカバーまでいかなかった。
・一方で教員免許の更新制度が始まった。有効期間10年の最後の年には免許更新の研修を受けることが義務付けられたが、この研修費用は先生の自腹! 産休などで教職を一時やめていた教員免許を持つ人の現場復帰にハードルができたので、この制度によっても教員不足に拍車がかかったものと思われる。
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2010年代
・先生の仕事量が急激に増えた。道徳教育、小学校の英語、プログラミング教育、さまざまな報告書(説明責任)。その他に生徒の心のケア、いじめ問題対応、部活指導・・・
・非正規の先生に任せられない仕事は、正規の先生が分担するようになったので正規の先生の仕事は更に増えた。
・長時間残業が常態化して、心や体調を崩す先生が増えた。その割合は民間企業と比べてもかなり高いレベル。それでも先生の熱血指導は当たりまえとしてサービス残業の実態を文科省は容認したまま。
・教員不足を緩和するため、特別臨時免許を出す基準を大幅に緩和した(これにより例えば体育の先生が英語を教えることができるようになる)。特別臨時免許は研修を受ければ無試験でパスできるが、研修費用はやはり先生の自腹だ。 教員採用試験は難しくしておきながら、一方で特別臨時免許は簡単に乱発するという矛盾・・・
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現在
・先生がいないので授業ができないとか、新年度始業式に担任を紹介できない学校があちこちで見られるなど、子どもの教育を受ける権利が守られてない状況が日本のあちこちで生まれている。教員の数がどれだけ不足しているのかの実態調査を、なぜか文科省はやろうとしない。
・今や管理職の先生の最大の仕事は教員の穴が開いた時のために代わりの先生を見つけておくことだ。 産休する先生は、代わりの先生を自分で見つけるというのが暗黙のルールになっている。それができないから子を産むのを諦めたという人もいるようだ。
・先生の労働環境があまりにも悪いので、このままでは先生の成り手は減りつづけることだろう。そして教育の質は低下していくことだろう。日本の未来は明るいとはとても思えない。
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・私は教員でも何でもありませんが、教育の力を信じている者です。この状況はなんとかしなきゃ、いけません。