きぬきぬ

スザンヌのきぬきぬのレビュー・感想・評価

スザンヌ(2013年製作の映画)
3.7
父子家庭に育つ姉妹の、衝動的で奔放な姉スザンヌを通して描かれるのは、スザンヌの犯罪的なロマンスだけでなく、決して見放すことなく、あるがままの彼女を受け入れようとする家族の優しさと愛。特にトラック運転手の父の留守を預かり育った姉妹の絆は強い。
若くしてシングルマザーとなった姉が青年と恋に落ち、幼い息子を預けに来る甘えも許容してしまう妹マリアだけど、その表情から優しさで押し殺した感情も伺えるような、暗い部屋の場面は繊細で印象的で、アデル・エネルがとても良い!明るさと微笑みの影にある彼女の心の内を知るようで。
そんな妹マリアが、姉スザンヌを成長へと導くのだけど、あのとても悲しい場面には胸を掴まれ、最もロマンチックにも思えた。
時間と空間の切り取り方が新鮮というか、時の経過の中でスザンヌが何かやらかす度に家族が巻き込まれ、その時空でのスザンヌや家族の現状や想いや繋がりを見る。最初、スザンヌは身勝手に思えていたのに、彼女の家族のように、生きていれば良いのだって感じに思えていた。

そして、ニナ・シモンの歌!
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