しょーご

ニンフォマニアック Vol.2のしょーごのレビュー・感想・評価

ニンフォマニアック Vol.2(2013年製作の映画)
1.9
4時間にも及ぶセックスオンパレード映画。


ちなみに、『アンチクライスト』『メランコリア』そしてこの『ニンフォマニアック』の3作が「鬱三部作」の最終作として位置付けられているらしい。


セックスオンパレードとは言っても全然エロくない。むしろ粉を吹くほど渇いてヒリヒリするような感覚がある。


主人公の女性、ジョーの誕生から50歳までの性遍歴を回想する形で展開していくのだけど、これに関してはもう完全にコメディーです。


2歳くらいで「性の目覚め」をおぼえたジョーが、床を水浸しにしてそこにひたすら股間をこすりつけるシーンや登り棒に股間をこすりつけるシーン(子役にどんな演技指導をしたのか、親にはどんな説明をしたのかすごく気になる)、初体験の男がたった8回目(性器3回、肛門5回)で果ててしまうとか、その回想を聞いていたジョーを助けた老人ゼリグマンが、「フィボナッチ数だ!」と童貞インテリらしく声高に叫ぶ様や、とにかく随所に笑えるシーンがあって、なにも考えずに観るとそこそこ楽しめる。


ただ、ジョーが父親に非常に特別な感情をもっていたこと、母親とは対象的に険悪な関係だったこと、その父親が死んだ際ジョーは発情していたことなどの描写は、性に対して奔放に振る舞いつねに主体的に選択しているように見えても、結局は父性=男根主義的な価値観に回収されてしまうと思うのだけど。



ジョーの主体性は、父の存在の傘下に収まることで結局は男性に都合の良い選択を余儀なくされているようにしかみえない。


その点で、この映画は馬鹿馬鹿しく、笑えると思うのだけど。
ラストのセリグマンの行動はそれを物語ってるのでは?


「セクシャリティを放棄して生きるわ」と語るジョーの生涯はとどのつまり生理用ナプキンのごとく使い捨てにしか捉えられない。



3作品に主演(『メランコリア』では助演)したシャルロット・ゲンズブールは「ラースは女性に自分を重ねているのだ」とインタビューで語ったらしいが、もし自分自身を重ねている女性を描いた結果が、この3部作なのだとしたら、それこそほとんど「性的に倒錯している」と言われてもしょうがないんじゃない?
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