MasaichiYaguchi

パシフィック・リム アップライジングのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.3
ゴジラやウルトラ怪獣、マジンガーZやガンダムを観て思春期を過ごした1人として、ギレルモ・デル・トロが監督・脚本を手掛けた前作は、日本の怪獣物の伝統である「着ぐるみ」感を出したり、それらモンスターと戦うロボットを「メカゴジラ」同様に巨大搭乗型にして操作の大変さを前面に打ち出したり、KAIJUに掛け替えのない者を奪われた人のドラマを交えたりして、体の芯から熱く燃えさせてくれた。
ギレルモ・デル・トロが製作にまわり、テレビシリーズ「デアデビル」のスティーブン・S・デナイトが監督したこの続編は、この前作の要素が薄くなってしまったと思う。
本作は前作にあったエモーショナルな部分よりも、KAIJUと巨大ロボットとの戦いを最新VFXで如何にスケール大きく、血湧き肉躍る活劇にするかという点に終始しているように感じられる。
ただ、この続編にもテーマがあり、それはキーワード「新世代」の物語。
前作で世界を救った英雄を父に持つ主人公ジェイクをはじめとしてイェーガーの若きパイロット訓練生たち、これら「新世代」の成長を軸とした青春を描いている。
未だひよっこである彼らは、ある状況下で武器やスピードをパワーアップした「新世代」イェーガーで、同様に大きさも凶暴さも増したKAIJUと対決することになる。
本作に関する媒体で最終決戦地が「日本」であることを知っている人は多いと思うが、重要なモチーフとなる富士山を除いて、やや中国風な首都で繰り広げられるバトルはそれなりに楽しめるが、「トランスフォーマー」の二番煎じ感が否めない。
ラストで主人公が発した言葉が更に不安を煽るが、今後シリーズがとんでもない方向に行かないことを祈りたい。