dm10forever

パシフィック・リム アップライジングのdm10foreverのレビュー・感想・評価

3.8
【改めて感じたジョージ・ルーカスの偉大さ】

え?前作撮ったのはギレルモ・デル・トロ監督ですよ、J・ルーカスじゃないですよ?
・・・わかってますよ(笑)。
続編を作るにあたって監督が代わるという事はよくあることだとは思います。ギャランティやキャスティングの問題、他の作品とダブルブッキングになってしまったり、脚本に納得がいかない等々。
でもね、そう考えるとSWシリーズがこれだけ続くのって、やっぱりジョージルーカスの作品を通したコンセプトが「ド~ン」と筋が通っていて、そのルートの上を色んな監督が各々の走り方で走っているだけであって、SWとして求められる世界観や行き先を相互共有(それは監督同士だけではなく製作側と観衆側という意味でも)出来ているからこそ、毎回凄いものが創れるんだと思うんです。
で、、やっぱりそこには「ジョージルーカス」という神が君臨していて、いい意味で「外の空気を入れながらSWの世界にも呼吸させている」ような効果を生み出しています。

さて・・・・、そういう観点から今作を観ますと、色々と感じるものがありまして。
まず、前作に熱を感じた多くのファンたちは「B級映画を本気で作るとここまで凄いものが出来る」というお手本を見せられました。
僕らは「あの世界観」に魅せられたんだと思っています。
そして続編の話を聞いたとき、正直ちょっと嫌な胸騒ぎを感じました。
「観たい」と思う反面、「パシフィック・リム」を1話で完結させる潔さみたいなものを期待していた自分にとって、「もしかしたらな・・・」という不安が漂っていたのも事実。

それは「インディペンデンスディ:リサージェンス」の時に顕著に感じた感覚でもあります。続編をやるなとは言わない。だけど続編が辿る道は本編がエンディングで残した光の指す方向を向いていなければいけないと思うんです。結果的に「否定」するでも構わない。ただ、前作が示した光の方向はどっちだったということを頭に置かないのであれば、次回作は作ってはいけないと思う。

物語のスケールは相変わらずデカイし、ロボット(イェーガー)もカッコいい。
で怪獣との壮絶な戦いの後(物語では「戦後」と語られている)、溝が塞がれてから10年経ってもカイジュウも出てこなくなったにも係らず、復興は思ったほど進んでもいなかった。カイジュウが出てこない世界では防衛軍も形式的になってしまったかのように、イェーガーのパイロットも訓練生みたいのばかりしかいなかった。
そこに連れ戻されるのが、かつての英雄の息子にして現在の防衛軍にとっての問題児。
最初に置かれるプロットしてはまぁいいんじゃないかと思う。

ただ、軽い。

前作のような「突っ切った感」を取り除き、映画として興行収入を気にしたのか、ありきたりなストーリー感を練りこんでしまった感じだった。
前作からの繋がりで唯一面白いと思ったのは「ニュートが行なった禁断のドリフト」の持つ意味が180度変わるという点。これは前作を観ていないと意味がわからないかもしれないけど、なかなか考え付かんかったわ~と感心しました。

ただ・・・軽い。

なんか、全てにおいてご都合主義というか、お手本に忠実に作ったような感じが漂っていて、もっと期待を裏切って欲しかったなというのが正直な感想。
この映画は「優等生」である必要ないんだよと。
もっと前作で感じたような「こんな映画、他の監督ならここまで本気でやらんでしょ」っていう振り切った感じが欲しかった。

世界がとても好きな映画だけに、途中から悶々としてしまった。



あと・・・・何?あの東京。「中国感」丸出しなんだけど。
あんな東京なら壊していいわって本気で思っちゃった。
それとマコの扱いが雑過ぎません?
何の意味も見いだせないまま「犬死」ですよ。
あれなら出さないでくれたほうがまだ英雄で終われたのにな・・・と。
ここでも前作との繋がりを無理やりねじ込んだような感じがして、ちょっと残念だったな。
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