まめもやし

マイ・インターンのまめもやしのレビュー・感想・評価

マイ・インターン(2015年製作の映画)
4.2
『ハート・オブ・ウーマン』『恋するベーカリー』などで知られるナンシー・マイヤーズ監督。女性目線のタッチで描かれるその映像にはむしろ男性が女性を理解する上で役立つアイデアが散りばめられているようにも思えた。

ジュールズ(アン・ハサウェイ)は、ファッションサイトを経営・管理する会社の社長として忙しない日々を過ごしていた。会社の社会貢献の一環としてシニアインターンの取り組みを試みて、40歳も年上のベン(ロバート・デ・ニーロ)がジュールズの会社に来ることになる。

冒頭で社会人生活を引退したベンの日常とシニアインターンに応募するまでを簡潔にナレーションベースで見させて違和感なく背景を理解できる始まり方がよかった。こういう映画でありがちな若い層と年配の層のギャップを誇張して苦労する場面などがなく、ベンは職場の人たちと40歳近くも年齢が離れているというのに、ベンの人当たりのよさやにじみ出る優しさから職場内でも着々と人気を得ていく。そもそもこの映画に登場する人たちに明らかな嫌味な人間だったり陥れようとする人間は出てこない。それに対して何か事件的なものが起きてほしいというような穿った考えが普段の私なら起こるのだが、この映画に関してはなぜだか起こらなかった。

その中でどうしても問題になってくる仕事とプライベートの天秤。その描き方は丁寧で、ジュールズの会社への貢献度と夫婦間の仲だったり、先を期待されていた会社を辞め自ら主夫として妻を支えることにした夫の姿だったりと、一見仕事も家庭も充実しているように見えるジュールズから垣間見える、微妙なバランスで保っている状況がよく伝わってきて純粋に彼女を応援したくなる。

また、ファッションにも注目。会社内を自転車で動き回るジュールズを筆頭に、ファッションサイトというだけあってカジュアルなスタイルで会社に赴く社員たち。映画界のファッションアイコンともいえるアン・ハサウェイは『プラダを着た悪魔』でもそうだったが、今回もジュールズのファッションはやはりおしゃれで、ラグジュアリーなものからカジュアルなものまで彼女の魅力を最大限に引き出している。同時にロバート・デ・ニーロ扮するベンの大人の紳士としての男性像には女性は好感を持つことだろう。常にスーツで、洋服や鞄にもこだわりがあり、物を大切にする。車に乗せるときはドアを開け、涙を流す女性にっはサッとハンカチを差し出す。現代で(特に日本で)はあまり見かけなくなったその紳士像に惚れ惚れすると同時に男性なら見習いたいと思わせる存在だった。

ロバート・デ・ニーロの役柄のはまり具合というか演技力というもののすごさを再認識させられた。悪役となれば不気味で怖い印象を与え、今作では何とも言えないほどチャーミングで微笑ましい紳士な男性。ロバート・デ・ニーロらしからぬ普通さで、こういう役もできるんだと改めて感じる。

忙しない社会で生きる人々たち(特にOL)に向けた爽やかなデトックス映画。でも男性陣も必見。
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