はる

マイ・インターンのはるのネタバレレビュー・内容・結末

マイ・インターン(2015年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

2016.5.1.ブルーレイで再見

改めて見ると、いろいろと引っかかった。

1980年代生まれのアメリカ白人女性が、オプラに勇気付けられる…? そういうもん?

というのも、従来の、男性性を内面化して男性に混じって働くキャリアウーマン像と違って、
女性性を保ちながら働くイマドキのキャリアウーマン像を描いたという意味で、
今作は画期的な作品だと思うのだが、

まあ、理想が過ぎるよね…

後半は特に、老紳士から最後まで後押しをしてもらって、夫からの懺悔を受け入れて和解して、仕事も結婚もきっとうまくいく、時には仕事から抜け出して老紳士に教わって太極拳にも挑戦しちゃう、

ファンタジーだよね…

映画館で見たときも思ったけど、「僕らの墓に入ればいい」という台詞は笑えたけど、やりすぎじゃない? 老紳士を若い女にとって魅力的で都合の良い存在にしすぎでは。自覚的にやってることがわかるからギリギリ許せるんだけど。

稀代の名優にして紳士、ロバート・デ・ニーロへの、絶対的な信頼に基づいて構築された映画なのだなと、再確認。

ブルーレイ特典を見て、主要制作陣が女性ばかりの現場で、若手男優三人組がロバート・デ・ニーロと共演したことを興奮気味に語っている、その温度差を見て、作中の「最近の若い男ども頑張れよ」という裏メッセージが強調されたように感じて、ソワソワしちゃった。

まだまだ白人男性社会といわれているハリウッドにおいて、こういう映画が作られるのは良いことなんだけど、白人女性社会の映画になってるあたり、もう一歩先の価値観を提示せねばならんのでは…などと思った。10年後、アン・ハサウェイ主演映画で、どんなキャリアウーマン像が描かれるか、期待してる。

それでも、面白さは変わらなかったので、評価は変わらず!

初見時の感想↓

予想以上の面白さ! キャリアウーマンが年上男性に癒される話なんてドラマでやれよ、なんてハスに構えて臨んだが、ロバート・デ・ニーロ演じる老紳士の視点から始めたのが正解。社会性のあるエンタメ娯楽であった。

妻に先立たれ定年でリタイアしてからは悠々自適の生活をしていたものの、働くことへの情熱を忘れられず、70歳にして、アパレル・ネットショップを運営する会社に、インターンとして再就職。

まずは同性で年下の男性社員達と仲良くなるあたり、よくできてる。女性が強い会社では男性達が結束しやすいという、あるあるも踏まえてるし、観客にとっても受け入れやすかった。

まあ、サクセス・ストーリーの陰で、あの運転手はどうなっちゃったのよとか、思わないでもないけど。相応の野心はあるがギラついていない、余裕を感じさせるロバート・デ・ニーロが良かった。

アン・ハサウェイ演じる敏腕社長も魅力的。「プラダを着た悪魔」を見て頑張ってきた女性客が見て、再度憧れを募らせることができる存在だと思った。アン・ハサウェイってそんなに上手い女優じゃないと思うのだが、「プラダを着た悪魔」から成長した感じが出ていてよかった。

キツイところもあるが、気遣いが出来ないわけではない、有能でチャーミングで、だからこそ人がついて行くのだろうと、説得力のある人物像だった。なまじ並行処理能力が高いゆえに、他人に仕事を振れずパンクしそうになるという、女性的な仕事のやり方、失敗も描かれている。

もちろん、私事で社員を振り回すなよ、とか、ツッコミどころはあるのだが、それを「これだから女は」「生理か?」などと否定的に見せず、女なんだからいくら有能であっても涙くらい流す、そんなとき、社員として男としてすべきことは? と受け入れてみせるあたり先進的な映画だと思った。

まあ、母親が登場して、女目線から一言チクリとあってもよかったとは思うが。癒しの存在として描かれた娘が思春期を迎えたらどうなるのか、気になるところ。

台詞がないところでの、ロバート・デ・ニーロの細やかな演技が流石だった。最初の面談での、まばたき。その直後に、練習シーン。良かったです。
たぶん、脚本にない部分は俳優が補ったのだろうと思う。
台詞では快諾しているが、なんでもかんでも笑顔で受け入れているわけではない。とはいえ、口は災いの元だと知っている、完璧人間でなくとも、紳士とはかくあるべしと思わせる振る舞いを見せつけた、名優に脱帽。

ベッドの上に座るように促されて、自分が男として見られていないことを突き付けられ、危機感の薄いお嬢さんだと戸惑い呆れつつ、彼女を慰め、眠りにつく彼女の隣で堪えきれず涙を流す姿が良い。友情という言葉で落ち着いたが、彼女は年老いた彼の人生を変えた運命の人であり、天使であり、それはたしかに恋だったのだろう。

女上司の私事に振り回されて社員が奔走するシーンを、事件として描いたり、アン・ハサウェイが忙しさにかまけて夫が作った料理をほとんど食べずに捨てるというのは「プラダを着た悪魔」でも見られた演出。同作の続編と言われるのも納得できる出来、また10年後くらいに、次回作を期待したい。

定年を過ぎても元気な老人のライフスタイルであったり、キャリアウーマンの仕事と家庭との両立であったり、世相を反映したテーマでターゲットは明確。とはいえ、「最近の若い男たち頑張れよ」というメッセージが裏テーマなあたり、カップルの感想が気になるところだ。

葬式デートが面白かった!!