このレビューはネタバレを含みます
よく比較されるアン・ハサウェイ主演の「プラダを着た悪魔」は何となくみて、ほとんど頭に残ってなくて、でもピンと来なかったという記憶だけはあったのですが、これはとても面白かったです。
ファッションサイトの女社長ジュールス(アン・ハサウェイ)と、シニアインターンとして採用されたベン(デ・ニーロ)の交流を描く。
ベンの信念はとてもシンプルで、自分が正しいと思った行動をする、それだけ。
じゃあ正しい事、とは何か?それはたいそうな事じゃなく、お腹が空いていたら温かいスープを、涙を浮かべていたらハンカチを、傷ついている人がいたら優しい言葉を、とかそんなこと。
それは誰にでもできるはずなのに、ほとんどの人がなかなかできないこと。まず自分自身が満たされていないと出来ないことなんじゃないかな、と思いました。
押し付けがましくなく、鈍感でもなく、助けるとか救うとかじゃなく。付かず離れず、そっとあたたかく人に寄り添えることのすごさ。
年の功の話ではあるんだけど、”古き良き価値観って良いよね”みたいな過剰な主張がなく、メッセージがスッと入ってくるところも気に入りました。
またフェミニズム的視点が強すぎると、女性は頑張ってるのに、男は!みたいな嫌味になってしまってたと思うのですが、はじめジュールスが、ベンを年寄りだからあまり当てにしていなかったりという(女性も偏見を持つ存在として描かれる)描写もあって、そのへんのバランス感覚も良かった。
あと、やっぱりデ・ニーロ素晴らしいです。この物語の説得力は、そのままデ・ニーロの説得力なんだろうなあ。
結末も爽やかでした。
重い映画は見たくない、映画で少し心を軽くしたい日ってあると思うんですが、そんな日にぴったりの作品だと思います。