あらすじ:今この瞬間、自分がすべきことは何か。それだけを考えていれば、ずっと心穏やかに過ごせるよ。
カリスマ女社長ジュールズ。仕事は成功しており家庭も一見円満だが、実は綻びあり。そんなおり、高齢者支援事業として雇ったベンと出会い…というお話。
監督が理想の男を描いた映画なのかも。情緒は安定してるけど情け深く、変化に強く柔軟だけど高潔なポリシーは不動で、しかもずっとパワフルかつセクシー。まさに完璧な男だけど、こんな男はこの世にいないし(セクシーじゃなくていいなら僅かにいそう)、いても、男にこれだけ望む女のもとには来ない。
監督的には、ジュールズが理想の女(=自分?)なんだろう。確かに、ほぼ非の打ち所がない。でも男女って相性も大事なので、いくらジュールズがハイスペでも合わない男はいる。なのに、十把一絡げに「数十年前、ジュールズみたいな女性はいなかった。女は成長したんだ。それに比べて男はどうだ?頭固いままなのに軟弱になっちまったよなあ?お前らがそんなだから、女は未だに居心地悪いんだよ。」と問題提起をするのは、ちょっと多様性の理解が浅いかも。そんな感じで、周囲が自分を見る目や、社会における男と女の関係性など、自分の人生と特別関係ないことにとらわれてイライラするジュールズを、全面的に擁護すべき人物として描いているので、ちょっと視点がニュートラルじゃない気がした。
そういうわけで、やや扇動的かつ誘導的ではあるけど、良い人や改心した人が頑張ってハッピーエンドを迎える顛末に文句は無し。トラブルやピンチを異様なほどライトに見せる演出なので、観やすさは抜群で、気楽にホッコリできるという長所もある。
チャーミングなアン・ハサウェイや、闇が無さ過ぎて違和感が強烈なデ・ニーロもみどころ。