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マイ・インターンのOKのレビュー・感想・評価

マイ・インターン(2015年製作の映画)
3.5
アン・ハサウェイに着目した場合、本作はまるで『プラダを着た悪魔』の続編のようだと評される。『プラダ』でカリスマ女性ボスに仕えていた事務職だったアンは、本作では逆に多数のアシスタントを抱える若きカリスマになる。(主従関係だけでなく年齢がひっくり返っているのがこの映画の魅力なわけだが)

ボスが抱える悩みも似通っている。忙しいがゆえの夫との不和、育児に手が回らない。それゆえに襲いかかる仕事の危機と、その解決策まで似ている。

これは映画の脚本のミスではなく、これこそまさにポスト・フェミニズム状況だと考えるべきである。そしてその状況を描くこと自体が現代の映画テーマになる、ということから考察を始めなくてはならない。

そうなったときに、では本作におけるデ・ニーロとは何者なのか? と考えると、彼こそまさに「理想化された老紳士」であることに気づく。今までの男性中心主義的な映画が女性を「理想化」してきたが、女性を現実に即して描くと、フィクションでは今度は男性を理想化しなければならなくなる。

なぜか? 現実はラディカル・フェミニストにも保守的男性にもあまりに生きづらすぎるからだ。社会に寛容さを求めるのではなく、一人ひとりが寛容になることこそが求められている。
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