坂月有子

マイ・インターンの坂月有子のレビュー・感想・評価

マイ・インターン(2015年製作の映画)
4.8
<概説>

やもめになったシニア男性のベン。彼が老後の生きがいとして再就職したのは、新進気鋭の若手社長の会社だった。『プラダを着た悪魔』のアン・ハサウェイが、およそ10年の時を経て敏腕社長を演じることとなる。

<感想>

人間は間違える。
けれど正しくなろうと努力できる。

物語には明確な悪役が必要なことは多いです。ただ本作には根っからの悪人は一人もおらず、一人一人が悩みながらも懸命に生きています。ロバート・デ・ニーロ演じるベンがいたからとかではなく、ただ善く生きようとする人々がいました。

本作色々とよかったところはありますが、一番語るべきはやはり主演のアン・ハサウェイがかつて出演した『プラダを着た悪魔』との関係ですね。本作がかの名作の続編だとか暴論は言いませんが、意識していないというのもまた暴論だと思います。

老人と若人。
敏腕と新人。
赤の広告に洗練されたファッション。

ここまであの名作を意識させられると、『プラダを着た悪魔』のミランダと『マイ・インターン』のジュールズを比較してまた独特の感慨があります。そういえばミランダも夫婦生活の不破に懊悩していましたし、もしもジュールズが『プラダを着た悪魔』のアンドレアのその後ならば、なんとも皮肉でおもしろい運命だなあと。

ただあの名作と違うのは、あちらが張り詰めた緊張感と共にある成長物語ならば、こちらはどこまでも優しい成長物語でした。どちらも人間的に見習うところがあって、柔らかなBGMや細やかに挿入されるカットと共に「こういう社会人になりたい」と思えます。どちらも間違いのない名作です。