MasaichiYaguchi

マイ・インターンのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

マイ・インターン(2015年製作の映画)
4.0
「プラダを着た悪魔」の続編のような内容なので、ヒロインでNYのファッションサイトのCEO・ジュールズの一喜一憂に共感する女性が多いと思う。
オジサンである私は、敢えて“マイ”の付かない原題の“The Intern”のベンに注目したいと思う。
このベンを演じているのが2度のアカデミー賞に輝くロバート・デ・ニーロで、こう言っては何だが、とってもキュート!
“デ・ニーロ・アプローチ”という妥協を許さぬ徹底した役作りで有名で、マフィアをはじめとした強面な役柄が多いが、本作ではこれまでのイメージを払拭するような人物を演じている。
俳優人生50年の彼だが、作品の中でこれ程笑顔を見せたことはなかったと思う。
更には、思わずこちらが笑みをこぼしてしまうような表情もしたりして癒されてしまう。
現役を退いて隠居生活を送っていたベンは日々時間を持て余し、生き甲斐や日々の生活の張りの為、シニアインターンに応募して、ジュールズのファッションサイトの会社で彼女のアシスタントとして働きだす。
そんな頃、仕事と家庭を両立させ、順風満帆なように見せる彼女に人生最大の試練が訪れる。
やがてベンは、試練で苦しむ彼女に手を差し伸べていく。
ベンのように名の知れた会社で役職者だった人は、つい上から目線でアドバイスしたり、余計な手出しをしがちだが、彼はそんなことはしない。
あくまで“見習い”という立場をわきまえ、社会人として、人生の先輩として助言や手助けを求められた時だけ応える。
そして様々な局面で発揮される彼の気配りは心憎いばかりだ。
会社で周りが親子程も年下の人々ばかりのなか、このようなベンの行動は出来そうでいて、自尊心が邪魔してなかなか出来ないと思う。
老後になっても拘りのファッションアイテムを身に着け、スーツでビシッと決めて出勤する彼を見ていると憧れてしまう。
年を経ることがマイナスに見られがちなこの世の中、ベンのような良い年の取り方をしたいものだ。