あーさん

シネマ歌舞伎 野田版 鼠小僧のあーさんのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

シネマ歌舞伎2022 第5弾

こう暑いと映画館に行く足も遠のいてしまう。。この先この暑さがずっと続くの⁈…とうんざりするほど酷暑だった先月観に行ったシネマ歌舞伎。同じ演目を1週間しか上映しないので、うっかりしていると観そびれてしまう!

さて、ここまでは古典の歌舞伎が続いていたけれど、ここに来て演劇界で知らない人はいない野田秀樹氏の脚本、野田版 鼠小僧。

最初こそ、ダジャレとか言葉の応酬みたいないかにも野田節に乗り切れなさがあったものの、歌舞伎ならではの人情話に現代劇のテンポの良さが良い化学反応を起こしていたように思う。
とても見応えがあり、面白かった。

勘三郎さんの人間味溢れる三太は、やはりこの方唯一無二だなぁと思わされる。七之助さんのコメディエンヌぶり!20年程前の作品だから、弱冠二十歳⁈芸達者〜
お兄ちゃんの勘九郎さんは、また生真面目な役がドンピシャ。まだおぼこい感じ♪
他にも福助さんやら橋之助さん(現・中村芝翫)、仁左衛門さんの息子の孝太郎さん(全く仁左衛門さんと似ても似つかずキャラが違って笑える!)、坂東彌十郎さんやら知ってるお顔がたくさん。
故・三津五郎さんの大岡忠相=いわゆる大岡越前役は、なかなかお茶目であらせられて、よき!そして、中村獅童の役どころ笑

三太=サンタというのは、先頃の朝ドラでもあったけれど、何ともオツな終わり方。。師走に観たい♪いや、これは切ないわ。
散々笑わせてからしんみり泣かせて、、上手いな〜

お金に目がない棺桶屋の三太が何故か貧しい者の味方の鼠小僧に⁈
三太の兄の死をきっかけに巻き起こるあれやこれやを巡るドタバタシリアスコメディ⁈

キャストもピカイチ、お話も楽しいから、普段歌舞伎観ない方にもお薦めします!





**こぼれ話
お暇な方だけお付き合い下さい🍀

ずっと大阪在住で、京都は目と鼻の先。大学も4年間京都だったのに、目の前を通り過ぎただけだった南座。。その私がほぼ同じくらいの月日を関東圏で住むようになり、いつしか南座が憧れの地になっていたのだから、わからないものだ。

さてさて、この度この歳で遅咲きの南座デビュー!いやぁ、、感激♪
演目がちょっと暗めの四谷怪談なので躊躇していたものの、玉三郎さんのお歳を考えるともうそんなことは言っていられない!と実家に帰った(父の一周忌なのに、自分の楽しみのことばかり考えている不謹慎な私である💦)ついでに、意気消沈している(と思ったがそうでもない笑)母を誘って南座へ!
数分で一等席はsold out…何とか二等席は取れたのだが、三階三列目だから舞台は遥か向こう…と思いきや、そこまでではなかったかな。真ん中より少し左なので、全体は見やすかった。が、休憩時間に桟敷席の方に行ってみたら、やっぱり近いよね〜この距離で見れたら良いなぁ。。としみじみ。
三階席は花道が見切れてて、ほぼ見えないし😓後援会にでも入らない限り、良い席は取れないのだな…。もしくは時間もお金も自由が効いて、コネがある人でないとこれは無理だな💦
もう少しその辺り考えないと、せっかくビギナーや若い人が観たいと思っても手が届かないではどんどん歌舞伎人口が目減りしていくのでは⁈ と少々心配になってしまった。まぁ、初めはこんなものか。

それはさておき、お芝居の方は、、
遂に玉様の舞台が観られてその点は大満足だったのだけど、次の理由でそこまでテンションが上がらなかったのは確か💦
①遠くて表情が見えにくかった
②お話が暗い(衣装やしつらえに華やかさがないし、笑いが少ない…)
③演出が淡々としている
④初日だった
勿論、玉様の演技は素晴らしかったし、愛之助さんもニヒルな役が似合っていたし(ちょっと仁左様を思わされた!)、見応えはあったのだけど、四谷怪談のお話自体がめちゃ腹の立つ理不尽な内容で、お岩さんが可哀想過ぎる上に仕返しが(エグいけど)呆気なくて。。(夏だから怪談!は正解なんだろうけど…)
色々過去の舞台などについて読んでみると、歴代のお岩さんは他の役と三役でその早替わりだったり、諸々のびっくりするようなからくり演出を見せるのが四谷怪談のひとつの見所だったのかな、、と。
70歳を過ぎた玉様にそこまでの演技をしていただくのは無理な話だし、もうお会いできただけでも幸せなんだけれどね。(京都の街を歩きながら、この近くにいらっしゃる!と思うと胸がドキドキ♪)
あと、選りすぐりのシネマ歌舞伎で目が肥えてしまったのも、良いのか悪いのか。
ネットで関連のブログを読んでいると、歌舞伎を見慣れた方が初日は愛之助さんがプレッシャーだったのか少し演技が硬かったと書いてらっしゃって、そういうのもあるなぁと。お芝居がこなれてきた辺りに観るがいいのかなぁ。今回は、日にちの制約があったから仕方ないけれど。

それにつけても、あと5年で良いから早く私が歌舞伎に目覚めていたなら、、と悔やまれる。その時はそれどころではなかったから、しょうがないか〜
今は主に後輩の指導に尽力されている玉様、旬の演技はDVDやシネマ歌舞伎で堪能するとして、これからも歌舞伎界に長く携わって下さることを切に願っています。。(美しい玉様は、もう一つの演目"元禄花見踊"の方で楽しませてもらえた♪けど、20分なのであっという間に終わってしまった。。夢のような時間🥰)

お芝居の前に懐かしい鴨川を見ていると、何故か森見登美彦の四畳半な世界観が浮かんできて笑、先斗町に足を踏み入れたのも実は初めて。暑いから室内だったけどほぼ貸し切りのような形で、母と川床ランチを楽しみました♪(母への誕生日プレゼント🎁)

空の上にいる父へ
私も母も、元気にしてるから大丈夫だよ🙆‍♀️
あなたの法事に託けて楽しんでまーす!😉
あーさん

あーさん