空海花

友だちの恋人の空海花のレビュー・感想・評価

友だちの恋人(1987年製作の映画)
3.9
エリック・ロメール「喜劇と格言劇」第6弾にして締めの作品。
やはりヴァカンスの不安定な時を背景に、二組の男女の揺れる心理を描く。
製作はマルガレット・メネゴス
撮影はベルナール・リュティック
音楽はジャン・ルイ・ヴァレロ。

原題"L'ami de mon amie"で、私の友達の友達の意。
“友だちの友だちは友だち”

パリ郊外の市役所の職員食堂で、市役所勤務女性ブランシュ(エマニュエル・ショーレ)と
学生最後の夏休み中のレア(ソフィー・ルノワール)
二人はたちまち意気投合し、昼休みに市営プールでブランシュがレアに水泳の手ほどきをするまでに仲良くなる。
そこでレアの恋人の友人、電力会社の技師のアレクサンドルと出会い、ハンサムな彼に好奇心を抱くが、ブランシュは男性に対してはかなりの内気で感情を表に出すことができない。

しかし折りしも時は日常ではないヴァカンス。
レアは恋人ファビアンではなく別の友だちと休暇に出かけてしまう。
暇を持て余してしまった彼は、偶然街で出会ったブランシュをウィンド・サーフィンに誘う。
スポーツ器具デザイナーのファビアンは
レアと正反対なスポーツ好きのブランシュと過ごす時間が多くなり、心惹かれていく。
しかし一方でブランシュはアレクサンドルが忘れられず、
ファビアンは友だちの恋人。
更にもう一方でレアの気持ちも揺れる。
恋多きフランスの四角関係。

どれだけドロドロこじれるのかと思いきや
フランスらしいエスプリをきかせた
爽やかなハッピーエンドへと繋がる。
格言の意味が少々わからなかったが
女性同士の友情の機微などはとても細やかに描かれていて好感が持てる1本。
やはりそういうところがロメールは巧いようだ。
ブランシュのファッションも素敵だったし
こんなラブストーリーは見たことがない。

音楽は他の作品も少ないが、エンディング曲はなく環境音が流れ、普遍性を匂わせる。


2022レビュー#6
2021鑑賞No.462
空海花

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