チャイルド・オブ・ゴッドのDONのレビュー・感想・評価

『ザ・ロード』や『悪の法則』、『ノーカントリー』のような作り込まれたフィクションの重厚さとは対極にある作品。つまり、ただ狂人を狂人として写し出すドキュメンタリー映画になっている。

優れたコメディアンが観客を笑わせようとはしないように、狂人は自らを狂人だとは微塵も思っていない。その永遠に平行なままの主観と客観のズレが観る者を笑わせ、憐れみを誘い、そして深淵となって戦慄させる。これもまたコーマック・マッカーシー原作の見事な映画化作品。