青二歳

新選組始末記の青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

新選組始末記(1963年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

三隅研次の新撰組。構図完璧。殺陣美しい。やたら血のりを使う殺陣は好みではないけど、新撰組には血生臭さが求められる。芹沢暗殺など息詰まる血の匂いも立ち込めるも、過剰な血のりはなく、立合いは美しい歌舞伎的殺陣。なのにどぎつい。例えば普通の殺陣なら一太刀のたすき掛けで終わるところを、とどめの二打撃がある。また血のりを吹かずとも藤村志保の手に赤を見せる。それだけで新選組の狂気と、幕末の京都の緊迫感が伝わってくる。

若山富三郎の近藤勇たまらん。撮影会いいなぁ可愛いな。天知茂の土方巽は最高に恐ろしい。芹沢鴨の鉄線はかっこいいなぁ。
女は二度生まれるとかチラチラ大映スターの周りに登場する高見国一が今作は市川雷蔵の横に。少年らしいいい加減さや若さゆえの屈託のない笑顔なんかは若者率の高い新選組にはマッチしてるんですが…なんかいい映画に出過ぎだ。そんな巧い役者じゃないが役どころが絶妙で印象的な存在。
しかし藤村志保がラストをさらうとは。力強く自分だけの道を見つめる伏し目。日本の未来を思う志士は新選組において佐幕の勤めに尽くしその意義を信じたが、その道はのちに行き詰まる。藤村志保の眼差しは未来につながる別の道を示している。三隅研次は、判官贔屓で新選組の悲劇性にひたることを許さないつもりなのだろうか。だとしたら随分容赦無い終わり方だ。
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