幕のリア

新選組始末記の幕のリアのレビュー・感想・評価

新選組始末記(1963年製作の映画)
3.4
新撰組好きになったキッカケは手塚治虫の短編。
京の熱い夏、祇園祭、友情、恋、裏切り、血なまぐさい殺戮、これらが美しく描かれている。

監察方の山崎烝を市川雷蔵が演ずるという異色作。
監察ならではの脚本は悪くないが、よくある新撰組物の域は出ない。
衣装では、色鮮やかな浅葱色の隊服がポピュラーだが、本作では土色のそれが却ってスタイリッシュ。

池田屋騒動では、沖田の喀血や藤堂平助の負傷などは省かれ、屋外に逃げた志士の嬲り殺しを様々な場面で様々な角度からから捉えるクライマックスが新鮮。
振り回される白刃の効果音も血飛沫も無いのは意外。

ラストショット、女の決意が美しい。

ただ、幕末好き、新撰組好き以外にはお勧め出来ない。

こういった作品を、晩年殆ど会話せぬまま他界した父と見たかったと思う。
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