映画や小説は、
別になくたって生きてはいける。
休日、テレビで録画したWOWOWの
映画を観たいのだが、平日ほとんど
家にいない僕にはチャンネル権が
ないので、仕方なく部屋の端っこで
読みかけの小説を読んでいると、
ニヤニヤしながら息子がやってきて、
『お父さんはホントに本が好きだなー。
何読んでるの?何読んでるの?』と
絡んでくるので、あっさり読書も諦める。
映画や小説は、別になくても生きていける。
それでも眠い目をこすりながら、
家族が起きる前の早朝に観たり読んだり、
家族が寝静まった真夜中に観たり読んだり、
なんでそこまで苦労して観てるんだろう。
きっと僕は、面白い奴に
会いたいのかもしれない。
世界には面白い考えを持った奴が
いるな〜って、楽しい気分になりたい
のかもしれない。
(ザ・ウォーク)みんな大好き
ジョセフ・ゴードン=レヴィットの作品。
どうしても映画館で観たかったやつ。
だって、ジョセフ以外にも、その美しい
勇姿を見せてくれる主役がいたから。
ワールドトレードセンター。
1970年代、ニューヨークの
ワールドトレードセンターのツインタワーを
命綱なしで綱渡りに挑む男と、
彼をサポートする仲間たちの話。
ワイヤーを渡ってもう一つのビルに行くだけ。
風は吹く。猛烈に吹く。揺れるワイヤー。
別に人生で、ワイヤーを綱渡りしなくたって
生きてはいける。そもそも犯罪だし、
お金になるわけでもない。
でも、観ているこっちのお尻が
モゾモゾするような高さから、
その一歩を踏み出す。さらに一歩踏み出す。
別に世界を変える訳でも救う訳でもない。
事件を解決する訳でもない。
そんなことばかりを観たい訳じゃない。
観た後、ちょっとだけ嬉しくなる。
愉快な気分になる。それだけでいい。
別に映画や小説がなくたって
生きては行ける。
でも、今はもう見ることが叶わない
ワールドトレードセンターの美しさを
こんなカタチで残してくれて
ありがとうって思う気持ちって、
あぁ、やっぱりなくしちゃダメなのかも。