神戸典

ザ・ウォークの神戸典のレビュー・感想・評価

ザ・ウォーク(2015年製作の映画)
4.5
この作品は1人の綱渡り師の夢を描き、手を貸してくれる仲間の大切さ、そして夢を実現した時全てのものへの感謝の気持ちを持つことの大切さ、どんなことでも可能であることを証明した作品だ。
特に、映像と音楽がシンクロし、美しい朝を迎えるニューヨークに鳥たちが目覚め風が街を散歩するような優しい旋律と次第に明るくなって行く映像、ビルに照らされる太陽。
それはフィリップの理想の美しい場所を観客にも見せてくれているようだ。

特にフィリップが綱渡りを始めようとする時に霧が立ち込めてあたりを覆い尽くし、フィリップと一本のワイヤーが永遠に続いているようなシーンは、フィリップの集中力や極限状態の研ぎ澄まされた世界を見事に表現している。
誰も成し遂げられない事を成し遂げたフィリップはもちろん警察に捕まるが、全ての人が拍手で迎えてくれた。
彼は最大の名誉を手にした。

今作でフィリップを演じているジョゼフ・ゴードンは「スノーデン」でも実話の人間を演じているが、彼が演じるとまるで本人なのではないかというほど役にはまり、命を吹き込んでいる。
彼の甘いマスクとは裏腹な力強い声、そして長い経歴から身につけた唯一無二の演技は俳優としての高い地位を確立している
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