この映画を観ているとまず飛び込んでくるのが映像の美しさ。基本的にどのシーンを切り取っても写真として成立する。流れる空、夜明け前の雪原、一面に苔が広がった森林。ヒューグラスの伝説を題材にしているサバイバル物のはずなのに、BBCのドキュメンタリー映像などを軽く超えてくる自然描写が圧巻。撮影監督であるエマニュエルルベツキは過去にツリーオブライフなども手掛けていますが、彼の感性が捉える風景は本当に美しい。
また映画史との関連を考えてみても、タルコフスキー映画へのオマージュがあったり、芸術性の高さが伺えますね。
この一流の映像に音楽を加えるのは本当に至難の技であったと思うけれど、坂本龍一とアルヴァノトは見事にハードルを越えて来たと思う。派手に主張はしないけれど、シーンに深みを加えてくる楽曲でしたね。
