森崎

ようこそ、アムステルダム国立美術館への森崎のレビュー・感想・評価

3.0
アムステルダム国立美術館の改修から再オープンまでを記録したドキュメンタリー。
美術館なんだから美術品の搬入や展示についての内容になるのかなと思いきや、本編のほとんどを占めるのはエントランスの自転車道をどうするかやその壁の色は僕の好みじゃないな、なんていうあれやこれやの狂想曲。
ここまでのプロジェクトをどデカい学祭でもやってんじゃないか、ってくらいに身近に落とし込みながら美術館の佇まいの美しさや市民の憩いの場としてにぎわう様子も映していて面白かった。

主張を押し付けられた者がまた別の主張をどこかに押し付ける。外から見ているから笑えるものの、しかしまあここまで開けっ広げなドキュメンタリーもあるのかと驚く。
美術館VS市民団体、美術館VS行政VS施工業者、などなど、美術館の改修という一言だけでは素人には想像できなかった問題が山積みになる一方で、その喧騒など存在しないかのように静かに再オープンの日を待つ美術館の姿や管理人、修復師、職員の真摯な姿が際立っていた。
特にアジア館の部長の方の美術館や作品への愛が真っ直ぐで喜びに満ちていてこちらも嬉しくなってしまうほど。社内営業や外部との折衝は置いておいて自分は作品のことが一番大事だと働く人達にとって、この美術館という場所、そしてそれを取り巻く環境がいつまでも等しく幸福な場所であってほしい。
森崎

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