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ロビンソン漂流記のpikaのレビュー・感想・評価

ロビンソン漂流記(1954年製作の映画)
5.0
ブニュエルの未レンタル作品のうちの1本がレンタル開始したというのに全く見る気がおきないまま1年くらい経ってようやく腰を上げて見てみたら衝撃的面白さだった。とにかくただただずーっと面白い。ムツゴロウさんの如く動物たちと戯れたり、楽園か何か?みたいになかなかいい暮らしをしていたりと「キャストアウェイ」や「オデッセイ」もビックリな漂流記がむちゃくちゃ楽しい。
孤独がなんちゃらとかキリスト教がなんちゃらとか色々込められたものはあるんだろうけど毎度のことながらブニュエル作品はそういったものどころではないファニーでユニークな演出が最高である。特に権化とも言える幻想シーンはブニュエルにしかできないセンスが迸ってて素晴らしい。内容に反してとにかく笑える1本目、演出の冴える2本目、ドカーンが生々しい3本目とそれぞれに味があって三度美味しい笑。たまらん!!

キリスト教の教えについて問答してるとき「ハッッ!」と気づいて狼狽えるシーンはストレートに示唆的だとかそんなことよりも画面がとにかく面白い。
海岸に足跡が!というシーンは、人に会えたっつー衝撃よりも砂浜に片方の足跡が1個ってことが怪奇で笑える。
主人公がめちゃくちゃ良くて一人芝居でも十分楽しいんだが、テンポも良いしそれだけで90分保つのか?と思っていると後半からドラマチックになってきてなるほど飽きない。淡々としてるし大真面目なのにふざけたような空気は終始一貫していて、ゆえにラストで独特な余韻が残る。
有名な物語だからこそ手を加えずともシンプルに演出で遊べるとでも言うように、頭を一切使わずブニュエル印をたっぷり堪能できる痛快娯楽作!思い出すだけでニヤける。マジ最高。大好き!
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