2015年公開邦画の中でも評判が高いだけあって、とても丁寧で誠実に作られていてよかった。
長崎の離島を舞台にしての、青春映画らしいどこか幻想的な雰囲気を醸し出す「撮影」の美しさ、細やかさはさすがの青春映画の名手・三木孝浩監督組クオリティ。
ただ新垣結衣が「やる気のない臨時音楽教師」という以外にストーリー的にも音楽的にもとくに"驚き"はないし、合唱のメインストーリーとウリの一つであろう生徒たちのあるサイドストーリーとのバランスも悪かったように思う。あとちょっと上品すぎて後半に「物語的に加速する瞬間」がないのがもったいない。クライマックスに向けて、ベタでももっと新垣結衣ががっつり技術・メンタル両面で合唱指導をする姿を見せたほうがよかったと思う。
「ソロモンの偽証」のように中学生キャストたちの、いきいきとした演技が素晴らしかった。女子がクラスの男子を罵る言葉とか、めちゃリアルで苦笑。かわいいなと思ってたら「陽だまりの彼女」の上野樹里の高校生時代役をやっていた子がいてびっくり。
でも良作ですよ。
