そのじつ

Mr.ホームズ 名探偵最後の事件のそのじつのネタバレレビュー・内容・結末

3.4

このレビューはネタバレを含みます

イアン・マッケランがすばらしい・・・彼を見ているだけでも価値がある。助演の子役も印象的な相貌でイアンと並ぶと絵になる。よかった。
イギリスの風景やあの時代の衣装・小物・インテリア、どれも映画の雰囲気に調和して美しく、見ていて気分のいいフィルム。
ホームズが女性を尾行するシーンの美しさが忘れがたい。シルクハットの初老イアン・マッケランのたたずまいにまず惚れ惚れ。尾行の対象の女性の品のあるドレスの形・色。ゆっくりと移動するカメラと流れる街の風景・人。ガラスの反射が行く先を示し、現れる中庭の緑がまぶしい。夢のようだ。

それに対して、シナリオには不満足だ。
これは超人シャーロック・ホームズの映画ではない。彼が孤独の檻を出て、人とつながりを求める心境にいたる話だ。(原作はミッチ・カリンの邦訳同タイトルらしい。未読)
シャーロック・ホームズのファンとしてはマイケル・シェイボンの小説『シャーロック・ホームズ最後の解決』(原題:The final solution)のホームズの老い方を支持する。
死の受け入れ方は様々であると思う。

シェイボンの作品と比べてしまうが、老年のホームズが目にする戦争の惨禍の場所も対象的だ。
日本、というのはけっこう突飛な気がした。映画ではワザとだと思うが、日本の景色が中国っぽいディティールで作り込まれていて、不思議だった。ホームズさん、ファンタジーの世界を旅してはるわ・・・。広島の焼け跡や石を拝む人の部分もファンタジーじみて奇妙である。
そのじつ

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