あかつか

不倫のあかつかのネタバレレビュー・内容・結末

不倫(1965年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

快楽をむさぼってこそセックスは美しい。人間の本能を夫婦という鋳型に押し込めるのが正しいことなのか。馴れ合った夫婦のセックスなど家畜の交配と同様、醜悪である…というわけで、結婚否定論者の川崎敬三が、清楚質実献身的な若尾文子とナイスバディ開放的な江波杏子とのすったもんだの三角関係の末に、ひとつ屋根の下での共同生活を始める。

というと、タイトルが「不倫」ってとこからして、なんかありきたりな感じがするのだが、最後までちゃんと見よう。

前半は若尾文子と江波杏子の間で揺れまくる川崎敬三のどうしようもない姿を見させられる。誰もが「若尾文子にしとけばいいのに」と思うのであろうが、後半は若尾文子と江波杏子の関係が超特急で変わり始めてなんだか思わぬ方向に…。

いろんな着物にいろんな髪型の若尾文子が見れてお得。『千羽鶴』で見たような若尾文子の懇願・哀願は相変わらずアカデミー賞モノ。それが川崎敬三でなく江波杏子に向いちゃうんだから、もう『卍』状態。

江波杏子。一人称が「マキちゃん」ってだけでなんとなくキャラクターが誤解されがちだが、結構ちゃんとしてるし優しい

革命的な性の美学の実験のために妻と愛人との共同生活を始めたくせに、他人のセックスに厳しいのは道徳的とはいえないのではないか

全編、川崎敬三の語りで話が進むものの、トップクレジットは若尾文子。ラストのエドワード・ノートン@真実の行方ばりの若尾文子の謀略を突きつけられると、やっぱり主役は若尾文子なんだな。
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