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アンダー・ザ・スキン 種の捕食のRのレビュー・感想・評価

4.5
前に1回見てビミョーやなと思った後、同監督の前作、記憶の棘に魅了され、いや、待て、アンダーザスキンもホントはもっと面白かったんじゃなかろうか、と思って2回目見てみたら、案の定! てか、この映画は普通に一回見ただけじゃ良さが分かりにくい。最低2回は見ねばならぬ。2回目はかなり違う視点から見れ、ほんとにこの女エイリアンの気持ちで見ないといけないんだな、と思った。女エイリアンからしたら、人間は食糧でしかないんやけど、同時に、ものすごく奇妙な生き物なわけです。真っ暗な部屋の中で捕食される男たちの無防備な裸体を見ると、どう見ても奇妙な生物にしか見えない。日本のバージョンやと、チンコちゃんと見せないから監督の意図がボヤけてもうてるんちゃうか。チンコ見えたらもっとおかしく見えるはず。人類なんて言っても、他の交尾する生物と変わらぬ、性に突き動かされる生物でしかないではないか。美味しそうな匂いに誘き寄せられてガブリとやられる哀れな虫と大差ある? が、そんなエイリアンが、ビーチで自分の命を捨てて他人を助けようとする姿を見たり、プロテウス症候群の男の哀しみに触れたり、ある男の紳士的優しさに触れたりするなかで、人間に対する異生物的関心が萌芽する。この辺は、あの大傑作漫画 寄生獣の田村玲子を彷彿させる。チョコレートケーキのシーンは微笑ましいし、バギナシーンは笑いを禁じ得ない。ぷーっ。で、エイリアンが少しずつヒューマンな感じを満喫し始めたころの、あの!とんでもない展開! 衝撃ですね。最も理性的で共感能力の高い生物である人間なのに、他者とのコミュニケーションを完全に遮断し、自らの欲望のみに突き動かされ、とんでもないことができてしまう。人間ほど不合理な生物はいないのであります。個体によってパターンがあまりにも違いすぎる。人間こそエイリアン。そういう話なんじゃないかな、と、粉雪の舞う虚空に吸い込まれそうになりながらぼんやり考えた。相当好み分かれるやろうけど、かなりの傑作だと思う。是非ともBlu-rayのキレイな映像で見てみたい。本作はDVDソフトの中でも画像があまりよろしくない方やと思う。映像で語る作品やのに。ちなみにプロテウス症候群の男のシーンは本作でいちばんすごい。やっぱ何だかんだ言って人間は見た目で人を判断する。道端で彼を見たらみんな怪物だと思うだろう。絶対に声かけようなんて思わない。昔住んでたところの近くにもプロテウスの人が住んでて、きっとみんな出くわすたびに、げ、怖、とか、見たくないもの見た、とか思ってたに違いない。けど、あの人だって、中身は普通で素朴な哀しい人間だったのかもしれない。逆に普通の見た目しててもモンスターはモンスター。ここ最近見た中では、人間の本性について最も思考を促される映画だった。

ちなみに1回目見たときの感想と大きく変わったので、前のも記念に残しておきます。

よくもまあこんな思い切った映画を作ったもんだ。前情報全くなく見たから、途中まで何が起こってるのかぜーんぜんわからなくて、頭ん中?⁇だらけ笑 ちょっと待てってことで、どういう内容かネットで調べたら、あ、なるほど。エイリアンものなのね。気を取り直して見直すと、なるほど、すべてがこのメスから見た世界観なのか、と。ただ、やっぱ前情報ないと意味がわからないってどうなんでしょね。下手すると、やっと内容がつかめるの、一番最後? とにかく、男たちを誘惑して捕食しまくるエイリアンが、途中から意外な展開になって、最後はおや、意外とかわいそう…ってなるくらいで、特に感興がわくわけでもない。目新しさはあるけど、情的にも知的も、感動に欠ける気がした。ただ、感覚的な部分はとても良くて、特に弦楽器を引っ掻いてるような音とかもろもろの音はたまらん。あと、スカーレットヨハンソンは顔コワいし変な女ぽいなぁともともと思ってたから、何もかも絶妙に不細工なエイリアン役にピッタリだと思った。2回目見るとも少し感じるとこが変わりそうではあるけど…見るかな⁇ あーあと、ボカシによって文字通り大事な部分が隠されてる感がデカい。ほんま、やめて、ボカシ。
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