〈☆2.9は傑作の証〉
『ツリー・オブ・ライフ』然り、Filmarksの☆2.9作品にはアーティスティックで切れ味の鋭い作品が隠れている。(2020年8月15日現在)
本作『アンダー・ザ・スキン』は、地球外生命体の純粋な視点から人間の深奥を改めて覗き、改めて驚く機会をくれるミニマルなSFスリラーだ。男性の性的欲求にテーマがとどまるため、だいぶ浅瀬を冒険していただけにも思えなくはないが、そこ含めてのミニマリズムなのだろう。本作はあまり大きなことを語ろうとはしていない。(なので「深奥を覗く」は詭弁だった)
肌を見せ、人間性を削ぎ落としたスカーレット・ヨハンソンは、肉体を持たず豊かに感情を表現した『her』とは対極に位置する仕事をしている。この二つが同年の作品。非人間から離婚する母親まで多彩に演じ分ける彼女はアベンジャーズ組のなかでも一目置く存在だ。
一方、本作は素人も大勢キャスティングしており、しかもそれは街頭のドッキリ撮影によるものだという。これにより、男性が下心剥き出しでスカヨハに釣られるところなどは一層説得力が増しているだろう。車内シーンのいかにも隠しカメラで撮ったような構図は『人生タクシー』を想起させる。
畢竟、謎の生命体は次第に人間の侵略をやめていくが、何かが重要なきっかけになったわけではなさそうだ。いくつか特異な瞬間を迎えはするが、それらが重なってようやく変化を与えている。U-NEXT、Filmarksのあらすじ紹介は決して上手くない。