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棒つきキャンディー/Lollipopのtetsuのレビュー・感想・評価

3.7
京都造形芸術大学の上映会イベントで鑑賞!!

少女漫画のネームを担当に渡す主人公。
彼女の書いた原稿には、高校時代の甘酸っぱい青春の1ページが綴られていた...。
いとおしい日々、
届かなかった思い、
叶わなかった願い、
少女漫画という虚構の世界で彼女は過去の自分にどう向き合っていくのか?

「いいにおいのする映画」「はらはらなのか」など、最近急上昇中の若手女性監督・酒井麻衣さんのデビュー作。

なんだろう、この胸が締め付けられる感じ。
芸大生時代の作品であるために、映画としての若干の粗さは否めないが、酒井監督の純粋な心を垣間見たような気がしたし、backnumberの曲のような高校生特有の甘酸っぱい恋愛が描かれていて、*「百瀬、こっちを向いて」以来、キュンキュンする映画だった。笑笑

*「百瀬、こっちを向いて」・・・映画の上映前に流れる"映画泥棒"の映像を監督した耶雲哉治監督のデビュー作&恋愛映画

また、今作に登場する学校の様子は何かしら監督最新作の「はらはらなのか。」にも通じる所があり、ラストのLIVEシーンは、虚構の世界と現実の世界を割りきったともとれる切なくも優しい展開に不覚にも泣きそうになった。
(ある意味、「ソラニン」のラストのLIVEシーンにも通ずるかも。)

うん、この際、いっそbacknumberの曲を使った恋愛映画を作ってほしいし、個人的には日本のジョン・カーニー(←「はじまりのうた」監督)になると思っています。笑笑

今回も幸福なことに、トークショーで酒井麻衣監督の貴重なお話を聞くことができた!
案の定ではあったが、この物語が監督の実体験をもとにしたということを知ることができたり、ゼミで作ったこの作品に対する愛が強すぎて、規定の上映時間の倍にしてしまった話などを聞けて面白かった!

同じイベントの中で、大学生の作品も上映されており、トークショーの中で学生監督に監督が感想を尋ねられていたのだが、その際、さらっと言った言葉が印象に残った。
「映画製作の現場では、作品を大切にするために、時には鬼になって場を仕切るリーダーが必要。」
そう言いきっていた酒井監督は、ゆるふわ系の見た目とは裏腹に軸がぶれておらず、やっぱり、本物の監督だぜ!笑笑
と思った!

これから、観たい相当ディープな方は「いいにおいのする映画」DVDの特典に入ってるらしいので是非お買い求めください。笑笑
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