このレビューはネタバレを含みます
引き続き、韓国サスペンスをチョイス。
プロットは良いが、展開のスピードがもったりしており、間延び感が否めない。じめっとした空気感がリアルさを演出している一方、その単調さ故に、退屈に感じるシーンも多かった。
本作のタイトル『悪魔は誰だ』とあるように、誰の心に悪魔が潜んでいるのか、ラストまで気を抜けない。悪魔とは、15年前に起こった誘拐殺人事件の犯人を指すのか、その衝動に駆られた瞬間を指すのか。はたまた、同じ手法を持って復讐に手を染めてしまった母親ハギョンのことなのか。脅迫や取引という警察官として在るまじき手段を用いてしまったチョンホなのか。
一人の男の赦されない犯行は、巣食うことのなかった平穏な人間の心の中に悪魔を生み出し、悲しすぎる復讐劇を引き起こした。
男の救いようのない自白のシーンは、とても不快で、特に赦されたと思っていることが耐えがたかった。彼は、「自分の娘を救うために犯行に及んだ、15年で赦された」と話す。自己中心的で、反省の色を一切見せない彼に「救う」という言葉を使う資格はない。
そして、母親の罪を男がかぶるわけだが、ボムという少女を傷つけた彼女が赦されていいはずがない。
娘を誘拐したハギョンも、ボムを利用して脅迫したチョンホも、同じことをやっちゃダメだよと、悲しい気持ちになった。結局、一人の悪魔によって、善人たちが悪魔に変えられてしまうというなんとも後味の悪いラストだった。