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怪談累が渕のmitakosamaのレビュー・感想・評価

怪談累が渕(1970年製作の映画)
3.1
ダイニチ!大映&日活でダイニチ!
なんかもう登場人物がみんな荒んでて、救いようが無くて、ダイニチの行く末を暗示しているようだよ。
安田公義監督による1960年版のセルフリメイク。でもだいぶ違うね。
60年版が中村鴈治郎推しで攻めたのに対し、70年版は宗悦があまり前面に出てこない。
親の因果であるカタキ同士の息子と娘が完全に極悪人にされちゃった。親より輪をかけて悪い。巻き込まれて死ぬ人も本当に浮かばれないわ。

おかげでなんかピカレスクロマン溢れる作風になったかな。前作との差別化はその意味では成功したと思うな。

ただどうだろ。後は好みの問題だけど、個人的には60年版の方が好き。累ヶ淵の真骨頂は、按摩で金貸しの宗悦の強欲さから来る怪異譚だからねぇ。
金への浅ましさで、次世代まで憎しみが巣食う怖さが重要な気がする。

金への執着という、人間の醜さこそが真の恐怖だということは、いつの時代も変わらないというメッセージはヒシと伝わる。くわばらくわばら。
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