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ジェラシーのMTMYのレビュー・感想・評価

ジェラシー(2013年製作の映画)
3.6
「ピーナツ、好き」「でも面倒だわ」「でも、おいしいもん」

そう言って娘は親に剥いたピーナツを食べさせる。
ピーナツを食べることへの愛があれば
ピーナツを剥くことは苦にならない。
面倒なことだと言って殻割りそっちのけで中身だけ食べようだなんて、そんなわがままなこと通じるはずがないし、
「そんなこと、できないだろう」
とそこのルイさんは鼻で笑って思うのだろうが、

まあそれがつまり彼がしていることであって、それに気付けずに勝手に「俺の愛は無限だ、計り知れないんだ」とか言って、
現実に目を向けようとしないのは、

…そりゃそうなるわけである。


愛に理由はないかもしれないが、
「お前をすごく愛してるんだ!!!!!!!!!!」
と言って激しく抱きつくだけでは、残酷な話だが、うわべにもなりかねない。
もっと殻を割って中を見て、コンテクストを見なければ、その叫びは儚く散って短命となるであろう。

愛してる人にだって、その人の人生がある。
とても愛しているから、その人も私に寄ってくれる、尽くしてくれる
なんて違う。たまにあるかもしれないけど、多分多くの場合は違う。


「いやぁ俺はあいつをめっちゃ愛してるんだけど、そうだなあ、もしあいつに捨てられたら、
おれは死にまーす」

って言ってしまうルイさんはもはや、
現実主義の恋人に置いてかれて自分はメルヘンな夢物語で哀しき人生の魂を吐き出す『恋人たちの失われた革命』そのままで、

(おや、ルイ・ガレルさん、またなの?笑)

と苦笑をかますほかない。


ルイ・ガレルは個人的に(とりわけ若い頃)が好きなので、これから私が巡り合わせるであろう作品の中での彼の幸福を祈りたい。
幸あれ…
MTMY

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