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沈黙ーサイレンスーのBeSiのレビュー・感想・評価

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
4.7
マーティン・スコセッシが描く、キリシタン弾圧の歴史とは__________________。
これまたAmazon Prime Videoのユーザーのレビューを事前に拝読してから鑑賞しました。エラい酷評ですな。"日本人はこんな事してない"だの"根拠の無い事を映し出した被害者ぶったプロパガンダ映画"だの"荒唐無稽な作り話"だの。人間の愛国主義の黒い部分が見えたような気がした笑 第一そんな細かい事を言ったところで全てを映し出せる訳がない。監督からすれば、宣教師に徹底的に焦点を当てつつ、彼らが経験した痛みの歴史を鮮明に描いただけで、決して日本人だけに焦点を当てているのではない。それなのに"一方的にキリスト教信者が被害者ぶっている"だって?そんな事言い出したら終わりです。受け取り方は人それぞれだとは思うし、突き詰めていけば今作が描くものと史実との相違点は大いにあるのだろうが、題材を真っ向から否定するような発言は控えて頂きたい考える。ユーザーさんを煽るようで申し訳ないですが......あなた達、キャッチコピー見ました?"なぜ弱きわれらが苦しむのか"って書いてるじゃないですか。この事から、監督自身が江戸時代初期当時のキリシタン弾圧の現状をキリスト教信者に焦点を当てて描いている事実が確定していて、かつ作品自体もをそのようにならざるを得ない。何が"日本人が悪いように描写するな"なんですか?愛国主義の典型的な悪い例に等しい。なんだか嫌ですねぇ。
以上の私の意見(口調が少し荒くなってしまいました申し訳ない(汗)を述べたうえでまとめたい。

名だたる俳優陣を構成し制作された今作は、キリシタン弾圧の残酷さを余すところなく描写していて、苦難や悲劇に嘆くキリシタンの人々に対する神の"沈黙"を見事に表現した作品。守るべきは大いなる信念か、それとも目の前の弱く重い命かを問う、スコセッシの渾身の傑作。
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