なべ

沈黙ーサイレンスーのなべのレビュー・感想・評価

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
3.7
原作 遠藤周作の代表的な作品『沈黙』
遠藤周作自身が幼少期にカトリックの洗礼を受け それ以来、日本人におけるキリスト教の意味を問い続けた人物でキリストをモチーフにした作品を多く残しているそうです。

江戸時代初期キリシタン弾圧というキリスト信者にとって厳しい時代の中、ポルトガル人の宣教師ロドリゴの師匠が棄教したという噂を聞いてロドリゴは日本の長崎に向かう事になります。

幸運にも学生の時に世界史・宗教学・文学史・日本史を嗜む機会があったおかげで話に置いてけぼりにならずにしっかり理解しながら観ることが出来ました。

ちょっと色々と感じた事が多すぎたので特に強く感じた事だけ、日本人における信仰心の弱さと 多くは隠れ切支丹とは名ばかりの信仰をただ隠れ蓑とする者さえいたという事、それに世俗的にキリストの弾圧や希薄が進んでもなお真のクリスチャンの信仰心は全くブレないという信仰心の強さを感じたのと同時に、そんなクリスチャン達でさえも信仰が揺らいでしまうほど弾圧の脅威が凄絶だったという事に時代の惨さが窺われました。そうゆう意味で登場人物〈キチジロー〉は日本人の変容な心を象徴しているのかもしれません。

印象的だったのが、宣教師がいわゆる "神の沈黙” に対し疑念を抱いたシーン「私は無に祈っているのか、どうして沈黙を続けているのか」と一言。司祭でさえも神(デウス)の存在を疑うほど追い詰められていた事が判ります。日本人にとって信仰とは何なのか?キリスト信者としての在り方を考えるきっかけになる映画でした。