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沈黙ーサイレンスーのrosechocolatのレビュー・感想・評価

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
4.2
遠藤周作の世界が元々好きです。必ず作品中に内省的なものを包括していて、そこを丹念に見ていくところが。そして映画の予告でもそこを重視しているように感じられたので楽しみにしていました。これは原作未読なのですけど読まないとね。

当時の如何ともし難い状況の中で、神との対話と、目の前の人々の救いとの間で揺れ動く布教者の苦悩を描いていました。

殉教者と棄教者との間の差は何なのか?
棄教者となることは救われないことなのか。
その問いかけに対する答えはあくまでも「無」である。タイトルの「沈黙」とは、神からの声、自らの内なる声、民衆の声そのものの「無」とも通じている。

棄教か、民衆の殺害かをどちらかを選ばせる卑劣な手段。尊厳を傷つけて、その人間の後の人生を空洞化することは古くから行われて来ました。スコセッシ監督は、殉教者たちへの愛情だけではなく、棄教により自らを閉ざした者、心に深く傷を負った者への暖かい眼差しを忘れることはないのでしょう。

3時間という長さは全く感じさせません。これは観るべき作品ですね。
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