秋月

沈黙ーサイレンスーの秋月のネタバレレビュー・内容・結末

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

高校、大学を卒業して大手企業に就職する。

中学生くらいからずっと私はこうやって生活するんだろうなと思っていた。というか大多数の人がこのようにして就職し、家庭を築き、生活しているのだろう。だから私もそうする。

それに漏れてしまったら人生の負け組だと思っていた。そして私は大学時代みんなと同じように就活をして大手に就職をした。
しかし仕事はつらいだけだった。でもみんなつらいんだから、みんなが通ってきた道だからと自分を励ましてきた。だが精神的にどんどん追い込まれていき、とうとう仕事を辞めてしまった。

つまり自分が当然のこととして思い描いていた人生、価値観、信条を棄ててしまったのだ。みんなが一生懸命頑張り仕事をしているのに、私はそれができなかった。私は弱い存在だ。
そんな弱い私はロドリゴや特にキチジローの気持ちが何となく理解できた。もちろん直接的な拷問は受けていない。私の経験したことなんかと比べるのは失礼かもしれない。
しかし、彼らは葛藤した。負けないように、周りの人や死んでいった人達を思いながら
あぁ私もそうだった…
棄教したことにより周りから蔑まれ、罵倒されていた。
あぁ私もそうだ、身内から友人から…


映画を見終わった後、原作を読んで更に理解が深まった。

ラストでロドリゴは神の声を聞く。これは、棄教したことにより新たな価値観を生み出す。出ました!「破壊と再生」ですね!自分が信じていたことを棄てることによって新しく生まれ変わる。


「強い者より弱い者が苦しまなかったと誰が断言できよう」

この言葉は私のそばで今も鳴り響いている。
秋月

秋月