Ash国立ホラー大学院卒論執筆

沈黙ーサイレンスーのAsh国立ホラー大学院卒論執筆のレビュー・感想・評価

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
4.3
【ウザ絡みなしの信仰映画】

マーティン・スコセッシはやはり天才?数ある日本を題材にしたアメリカ映画の大半は中国チックななんちゃってジャパンだったが、今作は完璧なまで日本的。黒澤や遠藤周作の原作へのリスペクトがそうさせたのだろうか。何れにせよ凄い。(こんなことで賞賛するも悲しい話だが^^;)

拷問や斬首など残酷描写が続くが、メルギブ映画のような狂気はなく、静かで現実的な印象。拷問が続くだけの単調な物語という評価もあるが、ストーリーもテーマもかなり興味深い内容で中弛みは無かったと思う。

アンドリューガーフィーリドをはじめ、日本人キャストの演技も凄かった。さすが演技派俳優と言われるだけ、格が違う。窪塚洋介のダメっぷりやイッセー尾形の悪代官感も完璧だった。

キリスト教映画のテーマは「布教」「神は実在するのか」「キリスト教の意義」「キリストの成立ち」など色々あるが、今作は「信仰」を扱っている。(1番多いのが単なる「布教」)なので、キリスト教を押し付けるようなゴリ押しウザ絡みはなく、むしろ全ての宗教に通づるテーマ性。キリスト教映画が嫌いでも拒絶反応は示さないタイプの映画だと思う。


「キリストがここにいたら、彼らを救うため棄教したはずだ」