なべちゃん

沈黙ーサイレンスーのなべちゃんのレビュー・感想・評価

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
4.0
宗教っていったい何なんだろう。

日本におけるキリスト教の始まりは1549年ザビエルの来日でしょうか(いごよく布教でしたかね笑)。その後、豊臣秀吉時代の長崎での26聖人殉教があったり、江戸幕府による禁教令があったり、映画はさらにその後の話ですね。

長崎は私の憧れの場所の一つです。鎖国中も貿易していた長崎は、独自の文化を築いており他の日本にはないものがあると思っているからです。新垣結依さん主演の「くちびるに歌を」で描かれた五島列島の自然や教会がとてもきれいだったのも理由の一つです。しかし、長崎というのは悲しい歴史を持った場所でもあるのですね。

この映画で描かれた五島列島は、発展途上もいいところで、自然も苛酷なものとしか思えません。海外の監督が日本を描くとこうなるのかとも思いますが、江戸時代の地方の生活水準はこれぐらいなのかも知れないですね。

私は、日本には宗教はないが宗教的な考え方はあると思っています。日本にだけ通じて他の国から見ると奇妙に思えるものは当時にも現代にもあるはずです。映画の中で「大日」という言葉が出てきましたが、悪いことをするとお天道様が見ていらっしゃると言う考え方もその一つですね。

世界中の大勢の人が心に持っているのに、大勢の人は意識もしない、それが日本における宗教だと思います。宗教のために命をかけたり、意地になったり、いったい何だろうと考えさせられます。

踏み絵をするならとりあえず踏んどいてまた後で祈ればいいじゃん、ではいけないのですね。それはクリスマスを祝いながらもすぐその後に初詣をするという日本人の考え方ですね。それに、それでは罪を犯しては許しを乞いに来るキチジローと同じですね。映画を通して要領よく振る舞い全く信用ならず、そのくせ何か大きいもの(宗教)にすがらないといられないキチジローですが、彼は弱くて臆病な人間の象徴ではないかと思いました。

歴史について少し知ることができ、また長崎に行きたい気持ちが強くなりました。
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