チェックメイト

ソング・トゥ・ソングのチェックメイトのレビュー・感想・評価

ソング・トゥ・ソング(2017年製作の映画)
3.0
詩のような映像。
4人の男女を巡るラブストーリーというありふれた題材ながらセレブ的な生活を送る実業家クックを軸にした主にルーニー・マーラ演じるフェイの物語。
独白で各々の胸の内が吐露されるのだがそこに意味ある語りはない。
場面の状況から人間関係の展開を頭で補完。

どこを切り取っても美しい風景。洗練された画面。絵になっていてそこは見ていて飽きない。
でもそれだけの感じ。

絵でストーリーを語るという手法が成功しているようだが4人が誰も魅力的な人間に見えなかった。薄っぺらい。
すべてを手に入れているかのように見えるクックもカリスマな人間的魅力は持っていない。
繰り返しフェイが心の中で言う。
「人生において何者かになりたい」と。
そう言うほど主張も打ち込むものもなく(と思われる)、ただ何者かになりたいなんて。
最後にフェイが華やかな生活が終わって地に足が着いたかに思えるモノローグになり「BVはシンプルな生活に戻った」と言う時、それは石油採掘の労働者で油まみれというあまりに安直な生活描写。
シンプルって何?BVはシンプルになぜ音楽を追求しないんだろう。ミュージシャンから肉体労働者へというのは悪くはないがこの表現ではかなりな違和感。

登場人物の内なる心象や秘めたる真情は見えなく、映像でストーリーは語れたが人間は語れなかったという他ない。
彼らの誰一人にも共感出来なかった。
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