Qちゃん

チャイルド44 森に消えた子供たちのQちゃんのレビュー・感想・評価

3.7
山に子供の死体。川も湖もないのに、全裸で死因は溺死。胃が摘出されてる。

この映画のあらすじを見た時に、子供の頃に聞いて印象的だった実話に基づく謎々を思い出した。

Q
山火事の現場
消火後に死体発見
川も湖もないのにダイビングスーツ姿
死因は墜落死
なにが起きた?

答えはレビューの後で!

、、なんて、そんな軽いノリで観てられるようなもんじゃなかった。。

原作は「このミス」2009年海外作品版で1位だった作品。生まれた時からスターリン体制の横暴に翻弄された主人公の波乱に満ちた半生と共に、猟奇殺人の謎とスターリン支配下ソ連の恐ろしさを描く。

思ってたほど事件メインではなく、どちらかというとスターリン体制の恐怖の中で疑心暗鬼と保身で人間らしい生き方を損なった社会に主人公が抗うようになっていく様子の方が主軸。

戦争の英雄から一転、不遇の境遇に夫婦共々叩き落とされる主人公夫婦。土台から想いのすれ違ってた2人が、本当にほんっとーに色々あって徐々に心が通じていく様が良い。それを「素敵」といえる余裕は、ない。

なかなか長期間を網羅したヘビーな内容を、かなりテンポ良く、ダレもせずうまくまとめてある。息を呑むような全編の緊迫感も最後まで続く。

スパイ合戦ではないが、冷戦時のシリアスなテイストは、少し「裏切りのサーカス」を思い出す。トムハーディもゲイリーオールドマンも出てるし。

とっくに知ってたはずだけど、改めてじっくりシリアスで見せられると、ソ連の統治体制が恐ろしすぎる。悲惨。吐き気がする。

ソ連国家保安委員会の絶対的権力の恐怖。指差されればもうおしまい。リアル魔女裁判。
自分と家族の死を恐れて、誰も何も言わない。もしくは真実など関係なく、ただ次の名前を差し出す。誰もが真実に目を伏せ、事実を捻じ曲げて、びくびくオドオド恐怖の中を生き抜く。
内部もいつ刺されるかわからない、生き馬の目を抜く陰謀と策略の渦中。そして外の人には全て裏があるとただ恐れられる。

「楽園には殺人など存在しない」て、ほんと冗談としか思えないようなことが時として世界ではまかり通る。怖いわ。

殺人事件の犯人は、お前コレはちょっとメンタルやられた背景の責任が社会にあっても全くもって同情できひん酷さやわ。

あ、そうそう、冒頭のQの解答ね。

A
山火事を消すために大量の水が必要で、ヘリの消防隊が近隣の湖の水をパイプで吸って上空で溜めて放水するいう消火活動を行ったところ、泳いでた人を巻き込んだ。

と言う実話だそうです。マジかよ。。
Qちゃん

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