踊る猫

ゴッド・ヘルプ・ザ・ガールの踊る猫のレビュー・感想・評価

3.6
流石にベル・アンド・セバスチャンのフロントマン/ソングライターが撮っただけあって、音楽は見事。音楽でこちらを引っ張って行くその展開はゴージャスとも言える。悪く言えば、音楽「だけ」でこちらを引っ張って行くので必要最低限のストーリーの説明も放棄されている印象を受ける。つまり、お話として面白くないのだ。ジョン・カーニー『シング・ストリート』のような作品を期待して観たのだけれど、確かにベルセバの歌詞の世界らしい可愛らしい中にトゲが含まれた、ビターテイストな展開は唸らされるが……ポップでガーリッシュで、そしてそれでいてちょっとだけ政治的。その魅力は人を選ぶ類のものなのだろう。ベルセバが好きな人は必見だろうけれど、そうでない人にこの映画を薦めるのは難しい。監督の趣味が前面に出過ぎている。バンド活動はこんなに生っちょろいものではないだろう、という意地悪な感想をも抱く。
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