秋日和

その夜の妻の秋日和のレビュー・感想・評価

その夜の妻(1930年製作の映画)
4.0
本作『その夜の妻』は小津の撮った無国籍ノワールややブレッソン風味な作品(小津の方が先ですが……)。画面に立ち込める煙草の煙や影の使い方、逃走劇などを見るに、相当アメリカ映画を観ていたんだなぁと思わされた。住宅にあるのは卓袱台と座布団ではなく、テーブルとチェアであるし、妻は湯呑ではなくコーヒーカップを手に取るし、夫が手にするものはゴルフクラブではなく銃である。ビシリとキマる横移動、岡田時彦の日本人離れしたエレガントさ、部屋に貼られた外国映画(?)のポスター等々に小津のこだわりが伝わってきた。小津調以前の作品だけれど、小津の持つ偉大なる不自然さ(あまり貧乏な家庭に見えない)はこの頃から思う存分発揮されている。
秋日和

秋日和