ダメハム

ヴィヴィアン・マイヤーを探してのダメハムのレビュー・感想・評価

4.3
2013年のジョン・マルーフ監督作品。ある青年がシカゴの歴史を知るためにオークションで偶然落札した古い写真のネガをネットにアップすると思わぬ反響が。調べてみると、その写真家は、既に故人の無名の乳母だった。その青年自身が監督として撮影した一風変わったドキュメンタリー。

素人目でも、その時代の空気感をそのまま切り取ったような構図の美しさには目を見張るものがある。彼女の死後、あらゆる写真家が絶賛する中、なぜ彼女は15万点以上という膨大な作品を残しながらも世間に発表しなかったのかと疑問が起こる。非常に興味深い。

生前を知る人たちは皆一様に彼女を『変人』と呼ぶ。乳母として働きながらも常にカメラを首からぶら下げて、いろんなものを撮影していくのだが、そのほとんどが町中を歩いてる人物。浮浪者、富裕層、白人、黒人、子ども、老人、全てをありのまま撮影する。

そして、ある時期から彼女は子どもに対して虐待をするようになる。一体彼女の中で何が変わったのか。生涯独身を貫いた彼女の抱えた孤独は何なのか。彼女にとってのカメラは何だったのか。謎が謎を呼ぶミステリアスな構図に引き込まれてしまう。

これは普通に写真集が欲しい。
ダメハム

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