小一郎

ヴィヴィアン・マイヤーを探しての小一郎のレビュー・感想・評価

3.7
シカゴの街の写真を集めていた、審美眼に優れるアメリカの若者が、たまたま凄い写真を見つけた。撮影したのは「ヴィヴィアン・マイヤー」。ググってみてもヒットなし。それから若者のヴィヴィアン・マイヤー探しが始まる。

人間の深淵を見極め、時にはユーモアも交えつつ切り取る作品は、素人目にも素晴らしい。埋もれた天才写真家かと思いきや、職業は乳母。15万枚以上の作品は1枚も公表されなかった。一体、どんな人物なのか?何故、公表しなかったのか?

才能を持つ人にありがちかもしれないが、彼女を知る人へのインタビューによれば、かなり変わった人だったようだ。部屋にはカギをつけるよう要求し、他人が自分の世界に入ってくることを嫌った。内向きで、孤独。男性不信で、人間の負の部分への興味が強い。

そんな彼女が、自分と外をつなぐ手段が写真だったのではないだろうか。人物の写真を撮るとき、その人と向き合い、共振し、シャッターを切る。この一瞬の触れ合いが彼女の慰め、生きがいだったのかもしれない。

また、自分の作品を公表したくなかったわけではないようだけど、それにしても何故、という疑問は残る。謎の女性写真家としての方が、歴史的にも注目を集めるだろうけど。