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ヴィヴィアン・マイヤーを探してのsakasaのレビュー・感想・評価

3.8
ヴィヴィアンマイヤーは15万枚以上もの写真を撮っていながら一枚も公に発表していない。
ましてや現像すらしていないものもある。
もし監督がオークションでネガを落札しなければどうなっていたのだろう。

あまり社交的でなかったヴィヴィアンは謎多き女性。
遺品や生前関わりのあった人たちから話を聞き彼女の人物像や人生を辿る。そこが少しミステリーっぽくて冒頭から引き込まれた。
何より彼女の写真に惹きつけられた。

素人目には詳しい技法なんてわからないけど、彼女の写真はクールでリアリティがある。
というのも、彼女が主に使用しているカメラがヴィジュアルポスターでも首から提げているRolleiflex。

このカメラは目の前で構えず、胸の前あたりで上から覗き込む形で撮影されるから下からのアングルが多い。
子どもが大人の些細な表情を逃さないように、マイヤーのカメラもその自然な表情が現れる一瞬を切り取る。

この映画を見なければヴィヴィアンマイヤーと出会うことはなかった。
知らないことは存在していないのと同じ。
とはよく言うけれど、本作はまさにその通りだと思った。

50/2017